一食15種類以上の野菜ランチ (前編)

FGF: こんにちは、ヨシさん。今回2回に分けてリーダーのヨシさんのバックグラウンドやFeel Good Foodsを立ち上げた経緯についてインタビューをさせてもらいたいと思います。

Yoshi: こんにちは。2023年春より、食を中心として新しいライフスタイルの提案をするため、現在アメリカで準備をしている、ヨシといいます。

FGF: 食の世界での経歴は長いのですか?

Yoshi: 食の世界に入ってきたのは3年前、40代になってからです。経験も知識もゼロからのスタートでしたね。

それまでやっていたビジネスをやめたばかりの頃、時間があったので次に何ができるのかを模索していたんです。それまで友達の間ではパン嫌いで有名だったのですが、家でパン作りにはまり、天然酵母のパンに興味を持ちました。もっと深く知りたいと思い、20年以上続く有名な老舗レストランのパン部門に就職しました。そのお店は、Farm to tableに先駆けて取り組み、全て原材料から作っていました。そこで学んだことは、原材料まで意識した食を作ることの大切さです。

FGF: 現在はどんな準備をしているのですか?

Yoshi: 今年の5月より多種類の野菜が入ったランチを都内で提供する準備をしています。

もっと野菜を摂りたいのが本音なんだけれど・・・。忙しくて朝食を食べずに仕事、外食では栄養満点なものをとろうとしても実際にはなかなか見つからない。仕事の時間がずれ込み食事の時間を削ってしまった。調理が面倒など・・・。日本人の生活時間と食生活には課題があると僕は感じています。

それを解決できる手立てはないだろうか?そこから、Feel Good Foodsが生まれました。今準備しているのは一食で15種類以上の野菜、穀物、ナッツ類、ハーブ類などを自由に組み合わせ、楽しめるランチです。

FGF: 今食の分野ではどのようなことが起きていると思われますか?

Yoshi: 一言で言うと、「二極化」ですね。

世界の穀物生産量は毎年26億トン以上。在庫もあるので、今、世界ではすべての人が十分に食べられるだけの食料は生産されていると言われています。実際のところ、発展途上国では生きていくのに必要な食糧が行き渡らない国や地域がある一方、先進国ではカロリーをとりすぎて肥満や生活習慣病などが引き起こされたり、ビタミンをはじめミネラルなどの体の調子を整えるための栄養素(micronutrients:微量栄養素)が足りていないんです。要は先進国でも発展途上国でも違った形で栄養失調が起きています。

FGF: 他にも二極化があるのですか?

Yoshi: ええ、食文化でも二極化が起きていると思います。インターネット媒体を主としたレストランのレビューやSNSの投稿などのコンテンツが増えてきて、食文化を取り巻く情報は間違いなく豊かになってきています。

その一方でそれが原因で食を恐れる人も増えてきています。健康な食に必要以上にこだわり、その結果偏食をしたり不健康な価値観をもつ精神疾患、Orthorexia(オルトレキシア)を抱えています。アメリカでの研究によると、普通の女性の中では1%にも満たないのに対し、食生活のインスタグラマーをフォローしている女性の半数にこのような傾向があるという結果があります。アメリカよりも体型を気にしている日本でも、同じような傾向があるのではと思ってます。

FGF: 今、特に関心を持っている課題はありますか?

Yoshi: あえて挙げるのであれば食物繊維、植物多様性、フードロスに関心があります。

腸は「第二の脳」といわれています。そして腸内細菌の「餌」として必要なものが食物繊維だということを知りました。読んだところでは19世紀の頭には毎日500グラムぐらいの食物繊維を摂っていたとありました。今の各国の目標値はその10分の1にも満たないぐらいですが、しかしほとんどの人はそれすら達していない、というのが現状です。

十分な食物繊維が腸内にあれば、菌の活動や多様性が免疫や精神的な安定にもつながります。この事実を知ったことで、食の大切さを強く意識するようになりましたね。腸内細菌の活動を支えるのは、穀物、種、ナッツ、野菜も含めた「植物」です。これらが多種・多様に含まれた食事が普段から必要なわけです。ある研究では1週間に30種類の植物を食べると免疫力が高く保たれるという結果があります。

なぜ、現代の食生活において植物多様性の食生活が困難になってしまったのか。その原因は色々とありますが、その一つは農業の画一化でしょう。第二次対戦後、植物多様性の農業から資本主義経済や人口増加に適応するため、生産性や効率性を重視した農業に変化していきました。

結果として実際にスーパーに行ってみると、並べられている野菜の種類や品種は少なく、手に取った野菜の形は不自然に整っています。本来自然の持っている多様性は、非効率なものとして排除されてしまったわけですね。この農業の生産性などの「発展」の代償を肥満や生活習慣病という形で払っていると言っても過言ではないと思います。

FGF: フードロスについてはどんな視点を持っていますか?

Yoshi: フードロスに興味を持ったのは、福岡県八女市でのみかん農家さんでの農泊(農業体験)です。

農家の方と一緒に調理をする機会がありました。農家の人たちは、食材の使えるところは、とにかくどこでも使い、無駄にしないように調理していました。それでも、どうしても使えない生ごみのような細かい食材は集めておいて、飼っているヤギの餌にしていました。生産と生活が密接につながったところで生活している人は自然に「循環」が身についている。僕は、都内で育ったので生ごみ=燃えるゴミとして出す経験しか知らなかったので、これはとても新鮮な経験でしたね。

農泊では、1週間ほどみかん畑で収穫作業を手伝いました。そこで気になったのは、黒い点がついているみかんは、規格外としてどんどんと畑に捨てられていたことです。木によってはかなりの量でした。きれいな状態のミカンだとキロ200円ぐらいで買い取ってくれるのですが、このようなみかんはキロ10−20円ぐらいにしかならず、作業代のほうが遥かに高くなってしまう。もちろん味は特に変わりありません。

FGF: なるほど。農家さんは大変ですね。

Yoshi: そうですね。

「人を雇って規格外のみかんを拾っていたら赤字になる。」という農家さんのこの言葉は忘れられません。

農泊の経験から、ーもちろん「もったいない」という気持ちもあるのですがー、それより、捨ててしまうみかんをどうやったら上手に活用できるのだろうか、という思いが強くなりました。消費者も手頃に野菜や果物が買えたり、生産者さんが今まで捨ててしまったものから収入源に変えられる方法はないだろうか。

今では農家さんに出会うたびに、どんな種類の野菜が規格外として出やすいのか聞いています。その一方で大量な食材をどのように調理したら保存性が高まるか、素材の味を引き出せるか、美味しくなるのかということを調べています。今回提供するランチのメニューに生かされますので皆さん楽しみにしていてください。

FGF: 後半ではヨシさんがアメリカで始めた活動、日本での自転車旅行、そしてFeel Good Foodsを始める経緯についてインタビューが続きます。乞うご期待を!

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